皆さんは「スペースバルーン」というものをご存知ですか?
スペースバルーンとは、空気より軽いヘリウム等のガスを風船内に注入し、その浮力で宇宙(正確には成層圏近辺)を目指すというものです。成功すれば、風船は高度3万前後という信じられない高度まで浮力のみで上昇し、そこで破裂します。当然ですが、成層圏には空気はほとんどないし、氷点下50度とかの世界ですから、人間が生身で到達できる領域ではありません(飛行機ですら、高度1万m程度です)。
このスペースバルーン、海外では比較的盛んで、色んな先行実験が行われています。しかし日本では、航空法、電波法、道路交通法、国際民間航空条約(シカゴ条約)、安全性の高い打ち上げ地点等、様々な問題が山積みで、海外と比較すると打ち上げが非常に大変です。しかし100%無理なわけではなく、中には努力と実験を積み重ね、日本国内で打ち上げに成功されている方もいらっしゃいます。これらの方々は、単純に風船を宇宙まで飛ばすだけでなく、「撮影」も一緒に行っている方が沢山います。
スペースバルーンの仕組みをごくシンプルに言ってしまえば、でっかい風船にヘリウムガスを入れ、そこにデジカメを装着し、撮影モードにしたまま打ち上げる。すると撮影したまま空にあがっていき、成層圏あたりで風船が破裂。しばらくするとカメラが地上に落ちてくるので、回収して終了。

・・・と、流れだけを説明してしまえば非常にシンプルですが、そう簡単な話では済みません。先にも書いたとおり、実に沢山の問題があります。航空法、電波法などの法的な部分はしっかり守らなければいけませんし、技術的な課題も沢山あります。落ちてくるデジカメは危険がないよう安全に落とさなければならないし、そもそも狭い日本でどうやって安全な場所へ落とすかなど。実に難しい問題が山積みで、それ故に日本国内では中々手を出せる人がいないのです。たまに見かけると、法的部分を守らずにやっている人もいるようですが、それは絶対にいけません。派手さの裏側で、実に長い、地味な調整が必要なのです。