落下地点予測
風船を成層圏まで打ち上げ、
地球を背景に撮影する企画
落下地点予測
スペースバルーン打ち上げにおいて、最も重要と思えるものが、落下地点の予測です。もし100%正確に機材の落下地点を予測することができるなら、第三者へ迷惑をかけたり、回収不可能な山地に落としてしまうこともありません。従って、いつでも好きな時に、好きな場所から打ち上げることができてしまいます。
が、実際にはそんなことはあり得ません。風や雲、風船の耐久性、未知なる成層圏空間等、不確定要素が盛りだくさんですので、完全なる予測は現代科学では難しいでしょう。故に、できるだけ正確な予測ができるよう、様々な計算で対応していくことになります。
西から東へ
主に考えるべきは、偏西風です。偏西風とは、地球の周りを西から東へ向かって吹いている風のことです。つまり特別なことがない限り、基本的にはスペースバルーンを打ち上げると、打ち上げポイントより東側に落下することになります。
但し、最も懸念すべきは対流圏上層部に位置するジェット気流と呼ばれるもので、これは強い偏西風の流れです。上空8~13kmあたりを東に向けて吹いており、冬季には秒速100m近くに達することもある、猛烈な風です。夏季は比較的ジェット気流が弱い(冬季の半分程)ので、打ち上げるならせめて夏季を選ぶのが良いでしょう。
気球を打ち上げると、打ち上げと同時に東へ流されていきますが、高度10km程度までは穏やかに流され、10km~20kmの間で大きく東に流されます。その後、20kmを超えてから風船が破裂する30km程度までは、また穏やかに。そして破裂後、今度は地上に戻ってきますが、やはりここでも20~10km近辺でジェット気流にさらされます。しかも下降時はパラシュートが開いているため、上昇スピードより下降スピードのほうが遅い場合が多く、必然的にさらに大きく東に流される傾向があります。
このあたりのことは、いずれ実績を積んで細かく掲載したいと思っていますが、日本気象株式会社様が、気象庁高層気象観測のラジオゾンデ飛行軌跡予測を掲載し、計算式も公開してくださっています。
安全性の高い落下地点
風の予測が正確にできるようになったら、あとはどこに落とすか。海上を除くと、国内で最も安全なのは道東地区です。十勝平野、根釧台地など、広大な平野や大地が存在し、人がほとんどいない地域が沢山あります。
もちろん、この地域に落とせば確実に安全というわけではありません。風を確実に読み、法律をすべて順守し、様々なルールを守り、安全に最大限の配慮を行った上で風船を打ち上げる必要があります。